令和3年11月2日最高裁判決
「交通事故の被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の短期消滅時効は,同一の交通事故により同一の被害者に身体傷害を理由とする損害が生じた場合であっても,被害者が,加害者に加え,上記車両損傷を理由とする損害を知った時から進行するものと解するのが相当である。なぜなら,車両損傷を理由とする損害と身体傷害を理由とする損害とは,これらが同一の交通事故により同一の被害者に生じたものであっても,被侵害利益を異にするものであり,車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権は,身体傷害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権とは異なる請求権であると解されるのであって,そうである以上,上記各損害賠償請求権の短期消滅時効の起算点は,請求権ごとに各別に判断されるべきものであるからである。」
治療が長期化し,事故から3年が経過してしまいそうな場合,物損について時効中断措置(催告による時効完成猶予,裁判上の請求,協議を行う旨の合意による時効の完成猶予等)を講じる必要があります。
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