近藤和弘法律事務所です。基本的なことですが備忘録です。間違えると相手方に請求できる額が大幅に変わります。
交通事故被害者が人身傷害保険金を受領した場合,人身傷害保険金は遅延損害金ではなく元本に充当されます(最高裁平成24年2月20日判決)。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82008" target="_blank"
一方,交通事故被害者が自賠責保険金を受領した場合,自賠責保険金は遅延損害金に充当されます(最高裁平成16年12月20日判決)。
2025年04月21日
損益相殺の充当関係(元本充当か遅延損害金充当か)
posted by kondolaw at 00:00| 交通事故
2024年09月17日
交通事故でむち打ちになった方の症状固定後の治療継続
近藤和弘法律事務所です。
交通事故でむち打ち(外傷性頚部症候群,外傷性腰部症候群)になった方のうち,痛み・痺れ等が継続する方については,後遺障害等級認定が得られるかが適正な賠償額を得るための関門になります。
むち打ちの場合,まれに12級が認定されることもありますが,通常は14級か非該当のいずれかになります。
後遺障害等級認定を受けるためには,半年は通院を継続し,その後症状固定の後遺障害診断書を記載してもらうことになりますが,症状が残っているにもかかわらず,そこで治療を終了してしまう方が多いように思います。
そうすると,後遺障害非該当となった場合の異議申立てにおいて,症状が継続していることの立証が難しくなってしまいます。
それで,症状が残っており,後遺障害等級認定を受けようとする場合,保険会社が治療費の支払いを打ち切った後も,治療を継続するべきだといえます。
交通事故でむち打ち(外傷性頚部症候群,外傷性腰部症候群)になった方のうち,痛み・痺れ等が継続する方については,後遺障害等級認定が得られるかが適正な賠償額を得るための関門になります。
むち打ちの場合,まれに12級が認定されることもありますが,通常は14級か非該当のいずれかになります。
後遺障害等級認定を受けるためには,半年は通院を継続し,その後症状固定の後遺障害診断書を記載してもらうことになりますが,症状が残っているにもかかわらず,そこで治療を終了してしまう方が多いように思います。
そうすると,後遺障害非該当となった場合の異議申立てにおいて,症状が継続していることの立証が難しくなってしまいます。
それで,症状が残っており,後遺障害等級認定を受けようとする場合,保険会社が治療費の支払いを打ち切った後も,治療を継続するべきだといえます。
タグ:交通事故 むち打ち
posted by kondolaw at 00:00| 交通事故
2023年06月12日
死亡事故の生活費控除率(備忘録)
近藤和弘法律事務所です。
死亡事故の生活費控除率は,民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤本)によれば,
一家の支柱(被扶養者1人の場合)40%
一家の支柱(被扶養者2人以上の場合)30%
女性30%
男性50%
とされている。
この基準は昭和63年頃から現在に至るまで変わっていない。
「生活費」とは,被害者本人の生活費のことである。家族の生活費は含まれていない。
したがって,被扶養者がいれば,独身の時よりも,自分の生活費を減らすことが通常であり,それを類型化する形で,被扶養者がいる場合には,50%から減じた生活費控除率としているものと思われる。
しかしながら,具体的事案の性質に応じて,上記基準を修正すべきである。
例えば,被害者が子どものいない共働き夫婦の夫である場合,生活費控除率を40%ないし45%とすることがあり得る(平成21年版 赤本講演録「生活費控除を巡る問題」)。
赤本の基準をベースとしつつ,ケースバイケースでの修正を行うことで,個別の事案において妥当な生活費控除率を導き出しましょう,ということのようです。
死亡事故の生活費控除率は,民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤本)によれば,
一家の支柱(被扶養者1人の場合)40%
一家の支柱(被扶養者2人以上の場合)30%
女性30%
男性50%
とされている。
この基準は昭和63年頃から現在に至るまで変わっていない。
「生活費」とは,被害者本人の生活費のことである。家族の生活費は含まれていない。
したがって,被扶養者がいれば,独身の時よりも,自分の生活費を減らすことが通常であり,それを類型化する形で,被扶養者がいる場合には,50%から減じた生活費控除率としているものと思われる。
しかしながら,具体的事案の性質に応じて,上記基準を修正すべきである。
例えば,被害者が子どものいない共働き夫婦の夫である場合,生活費控除率を40%ないし45%とすることがあり得る(平成21年版 赤本講演録「生活費控除を巡る問題」)。
赤本の基準をベースとしつつ,ケースバイケースでの修正を行うことで,個別の事案において妥当な生活費控除率を導き出しましょう,ということのようです。
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死亡事故の損害賠償金は非課税(備忘録)
近藤和弘法律事務所です。死亡事故の損害賠償金は非課税です。
交通事故で被害者が死亡した場合,被害者が取得する損害賠償請求権は,財産上の損害賠償請求権,慰謝料請求権共に相続性がある。そうすると,死亡による損害賠償請求権は相続税の対象となりそうだが,死亡による損害賠償請求権を遺族が直接取得し,所得税法9条1項16号に基づく損害賠償として遺族が直接の支払いを受けたと考えて,課税対象とはされていない(実務)。
交通事故で被害者が死亡した場合,被害者が取得する損害賠償請求権は,財産上の損害賠償請求権,慰謝料請求権共に相続性がある。そうすると,死亡による損害賠償請求権は相続税の対象となりそうだが,死亡による損害賠償請求権を遺族が直接取得し,所得税法9条1項16号に基づく損害賠償として遺族が直接の支払いを受けたと考えて,課税対象とはされていない(実務)。
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2022年03月25日
最判令和4年3月24日 人傷社が自賠一括払いをし,自賠から回収した場合に,加害者保険会社は自賠分を全額控除できるか
近藤和弘法律事務所です。最判令和4年3月24日判決についての備忘録です。検討レベルなので間違っているかもしれません。
例)
Xの過失7割,Yの過失3割
Xの総損害額1000万円
Xの人傷支払額800万円
自賠分200万円(人傷社がXに一括払し,自賠から回収済)
(1)人傷社が代位出来る額は幾らか(=人傷社はYに対して,人傷社がXに支払った額のうち幾ら請求できるか)
訴訟基準差額説によれば,人傷支払額はまずXの過失分に充当されるから,800万円からXの過失分700万円を差し引いた100万円について代位可能である
(2)XはYに幾ら請求できるか
総損害額1000万円から人傷で受領した800万円を控除した200万円を請求できる(訴訟基準差額説)
ここまでが基本。以下,人傷社が一括払いしている場合どうなるか。
Yは,Yの支払額を定める際,自賠分200万円も控除すべきと主張(これが通ればXがYに請求できる金額は1000万円-700万円-100万円=100万円)
しかしながらこの主張は認められない。
人傷社が自賠責に請求できるのは,(1)の代位可能分(つまり100万円)に限られる。したがって,XはYに対し,200万円を請求できる(結論は一括払いの場合とそうでない場合で違いなし)。
人傷社は自賠に100万円しか請求できないのに200万円受領したので,100万円をYに支払わなければならない。
例)
Xの過失7割,Yの過失3割
Xの総損害額1000万円
Xの人傷支払額800万円
自賠分200万円(人傷社がXに一括払し,自賠から回収済)
(1)人傷社が代位出来る額は幾らか(=人傷社はYに対して,人傷社がXに支払った額のうち幾ら請求できるか)
訴訟基準差額説によれば,人傷支払額はまずXの過失分に充当されるから,800万円からXの過失分700万円を差し引いた100万円について代位可能である
(2)XはYに幾ら請求できるか
総損害額1000万円から人傷で受領した800万円を控除した200万円を請求できる(訴訟基準差額説)
ここまでが基本。以下,人傷社が一括払いしている場合どうなるか。
Yは,Yの支払額を定める際,自賠分200万円も控除すべきと主張(これが通ればXがYに請求できる金額は1000万円-700万円-100万円=100万円)
しかしながらこの主張は認められない。
人傷社が自賠責に請求できるのは,(1)の代位可能分(つまり100万円)に限られる。したがって,XはYに対し,200万円を請求できる(結論は一括払いの場合とそうでない場合で違いなし)。
人傷社は自賠に100万円しか請求できないのに200万円受領したので,100万円をYに支払わなければならない。
タグ:交通事故 人傷 自賠責
posted by kondolaw at 00:00| 交通事故