2016年06月28日

認定司法書士の業務範囲についての最高裁判断

近藤和弘法律事務所です。

この問題については,日弁連と日司連が司法書士法の解釈を巡って対立していましたが,初の最高裁判断が出ました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85969

結論としては,「債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が法3条1項7号に規定する額を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと解するのが相当である。」というものです。

日司連会長声明
http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/statement/41603/
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2015年10月27日

芸人さんが過払い請求

近藤和弘法律事務所です。

芸人さんが過払い金返還請求をされたことが話題になっています。

http://news.livedoor.com/article/detail/10754599/

−以下引用
女性お笑いタレントのまちゃまちゃ(39)が26日放送のTBS系「私の何がイケないの?」(月曜後7・00)に出演し、過去、総額325万円の借金地獄に陥っていたことを告白。現在は全額返済しているが、その際に多く払い過ぎた利息である過払い金約125万円の全額返金へ向け、自身が利用していた消費者金融2社と“戦う”ことを宣言した。

まちゃまちゃが初めて借金をしたのは17年前の22歳の時。お笑いタレントになるため千葉から上京し、アルバイトをしながら糊口をしのいでいたが、給料10万円では生活を続けることができず、消費者金融を利用。最初は10万円を借り、利息を返しながら1年で完済した。

しかし、給料など生活は改善されず、その後もキャッシングを続ける日々。限度額を超えると別の消費者金融からも借りるという負の連鎖に陥り、気付けば2社から総額160万円を借金。利息を加えると約325万円にも膨れ上がることに。

その後、日本テレビのお笑い番組「エンタの神様」でブレーク。年収も大幅に上がり借金を一括返済。地獄の生活からは脱出することができたという。

そこで、クローズアップされたのが「過払い金」で、今回160万円の借金に対して払った利息は165万円。06年の法改正で払い過ぎた83万円の返済と、その利息分の合わせて約125万円を消費者金融に請求できることが判明した。

過払い金処理のプロである弁護士に依頼して、2社と返済交渉を開始。消費者金融側には全額返済しなければならない法律がなく、今回も消費者金融側からの回答は「年内なら(2社総額)41万円を返済する」との大幅減額の数字。番組では、相手側の要求通りに年内での決着か、数年かけて裁判で争っていくかの選択を迫られたまちゃまちゃだったが、完全に勝てる保証のない中、最後は「戦います」と宣言。数年かけてでも全額を取り戻す決意を口にした。
−引用終わり

気になるのは,「消費者金融側には全額返済しなければならない法律がない」とされている点です。趣旨がよく分かりませんが,@利息制限法上,上限利率が定められていること,A貸金業法上,みなし弁済が認められなければ,上限利率を超える利息の約定は無効であること,B民法及び判例に従えば,過払い金返還請求権の利息は5%であること,からして,消費者金融側は法律上,利息も含めて過払い金全額を返済しなければなりません。

また,2社というのがどの消費者金融なのか分かりませんが,過払いの裁判で数年要することはほぼありません(1年程度かかることはあります。特別な争点があって,最高裁に上告するということであれば,数年要するかもしれませんが,この件は元金が83万円ということですから,簡易裁判所の案件で,最高裁に上告ということはありません。)。

バラエティー番組ということもあるのかもしれませんが,過払い金返還請求を考えておられる方が,この記事を見て,「そんなに時間がかかり,勝てる保証もないのであれば,大幅減額和解をしよう。」とならないことを願います。

当事務所では,過払い金返還請求については,基本的に全件訴え提起し,過払い利息も含めて回収する方針です。


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2015年08月25日

アイフル 事業再生ADRにより圧縮された借入金弁済完了

近藤和弘法律事務所です。

消費者金融のアイフルは事業再生ADRにより経営再建手続中でしたが,圧縮された借入金の弁済が完了したそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150825-00000132-jij-bus_all

アイフルは経営破綻の可能性を散々ちらつかせて過払い金の減額を迫ってきていましたが,客観的にも経営破綻のリスクはひとまずなさそうです(もちろん,確実なことは誰にも分かりませんが。)。

当事務所では,事務所開設時より,アイフルに対しては訴え提起し,元金及び過払い利息の満額を回収する方針で進めています。今後も,その方針に変わりはありません。
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2013年03月26日

過払い返還、密約で減額 債務者が知らぬ間に 消費者金融と法律事務所(朝日新聞の記事より)

近藤和弘法律事務所です。

こんな記事がありました。
過払い返還、密約で減額 債務者が知らぬ間に 消費者金融と法律事務所

以下引用−
「消費者金融業者に払い過ぎた借金の利息を取り戻す「過払い金返還請求」をめぐり、業者が、請求を代行する法律事務所と手を結び、債務者の一部に不利益となる協定を秘密裏に交わす例があることがわかった。返還額を減らして手早く和解する内容で、業者のメリットは大きく、法律事務所も多くの依頼を処理できる。
−引用終わり

消費者金融,いわゆるサラ金と一部の法律事務所が過払い金返還の減額についての協定を結んでいるという実態が明らかにされています。

このような協定を結んでいる事務所に過払い金返還請求を依頼すれば,本来であれば利息制限法に基づく引き直し計算の結果算出された過払い金満額を回収できたはずが,5割などあり得ない金額しか回収できないことになってしまいます。

簡単に満額近い和解が可能であった数年前と異なり,最近は消費者金融も任意の交渉で満額の和解に応じることはほぼありませんし,訴え提起しても,業者によりますが,ありとあらゆる主張を展開してきます。
もちろん,そのような主張に個別具体的に反論してゆけばよいだけなのですが,大量の案件を迅速に処理することは難しい状況になっているのです。

そのため,過払い金返還請求を主力業務としている一部の事務所は,協定を結ぶことによって迅速な処理を可能にしているという実態があるのかもしれません。

問題なのは,そのような協定の存在を知らずに依頼した方が被る損失です。

「うちの事務所はこんな協定を結んでいますが,宜しいでしょうか。満額回収を目指す事務所もありますが。」という事前説明を受けた上でその事務所に依頼を決めたのであればともかく,そのような説明なしに依頼を決めた方が多数存在するとすれば,大きな問題です。

もちろん当事務所はそのような協定を結んでおりませんし,今後も結ぶことは決してありませんので,ご安心ください。
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2012年09月12日

リボ払いを不動産担保貸付けに切替えた場合の取引の一連性

近藤和弘法律事務所です。

興味のない方は読み飛ばしてください。

リボ払いから、不動産担保貸付けに切替えた場合の取引の一連性が争われた事案で、最高裁判所は、原則として取引の一連性はないとの判断を下しました。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120911131723.pdf

取引の一連性が認められれば多額の過払い金が発生している事案でも、取引の分断が認定されてしまうと、第一取引の過払い金が時効消滅してしまったり、借主側にとっては不利となります。
残念な判決です。

数年前までは普通に取引の一連性が認められていた事案でも、最近はかなり一連性の認定が厳しくなっています。

事務所ホームページ
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